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第3話 飾りの妻⑦

Author: なつめ
last update publish date: 2026-06-24 15:40:09

 あまりに率直で、あまりに愚かな告白だった。

「平気なわけ、ないでしょう」

 少しだけ、笑ってしまう。怒りではない。呆れと、どこか泣きたいような気持ちが混ざった笑いだった。

「そうだな」

 ヴィルレオも否定しない。

「だが、お前はいつも笑っていた」

「笑うしかありませんもの」

「なぜだ」

「公爵夫人だからです」

 即答だった。

「あなたの隣で、しかめ面や泣き顔ばかり見せて、何になりますの」

「夫婦だ」

 その一言は、思ったよりずっと強く響いた。

 リュゼリアは息を止める。

 夫婦だ。

 あの言葉を、彼はどんな思いで口にしたのだろう。義務としてか、立場としてか、それとも。

「……夫婦、ですか」

 問い返した声は、自分でも驚くほど静かだった。

「そうだ」

「でしたら、」

 リュゼリアは膝の上で指を組み、窓の外を見た。夕暮れの街並みが流れていく。人々の暮らしの灯りが、一つまた一つと通り沿いに灯り始めていた。

「少しだけでも、そう思える時間がほしかったです」

 ヴィルレオは何も言わない。

「外の方々がいないところで。誰の視線もない食卓で。夜の寝室で。そういう場所でも、わたくしがあなたの妻であ
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